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AIトランスフォーメーション|独自価値から始める実践の6ステップ

お役立ち情報·2026年10月25日
AIトランスフォーメーション|独自価値から始める実践の6ステップ

AIトランスフォーメーション専門家で、CosBEの茂見憲治郎氏が、2026年10月4日に田村市役所で行った講演をもとに、CosBE AXメソドロジーの全体像を整理します

ℹ️サマリー

・出発点は「AIで何ができるか」ではなく「自社は何で勝つか」 ・三つの問いで独自価値を言語化し、課題を一つに絞る ・最小構成のMVPで「何を確かめるか」まで決めて始める

出発点は「AIで何ができるか」ではなく「自社は何で勝つか」

AIトランスフォーメーション(AX)とは、AIを導入することではなく、自社独自の価値を起点にAIの使い方を定める経営戦略だと茂見氏は説明しています。

茂見氏は、「AIありき」の発想が競争優位につながりにくい理由を三つ挙げています。①汎用的なAI-SaaSツールは誰もが同じように使える前提で設計されており、行き着く先は横並びであること。②生成AIは統計的に「最も確からしい答え」を導く仕組みであり、出力は「最も一般的で、ありふれた答え」になりやすいこと。③使いこなしのノウハウは急速に共有され、中期的には差別化になりにくいこと。汎用AIツールの導入は「必要条件ではあっても、十分条件ではない」と茂見氏は述べています。差を生み出すのは企業自身が持つ独自の価値であり、AIはその価値を拡張し、増幅し、再現可能にする手段だ、というのが著書の立場です。

講演資料が示すCosBE AXメソドロジーは、①独自価値を再認識、②経営課題を明確化、③解決策を構想、④MVPで小さく実装、⑤運用・改善を定着、⑥全社変革へ拡大、の6ステップで構成されています。

独自価値は「三つの問い」で言語化する

独自の価値とは顧客が自社を選ぶ決定的な理由であり、三つの問いに答えるところから言語化が始まると茂見氏は述べています。問1は「顧客は、なぜ他社ではなく自社を選んでくれているのか」。独自価値とは自社が言いたい強みではなく、顧客が実際に感じている「選ぶ理由」だと説明しています。問2は「自社がいなくなったとき、顧客は何に困るのか」。顧客が困る領域にこそ独自の価値が隠れている、と話します。問3は「自社が最もこだわり続けてきたことは何か」。顧客から選ばれている理由と、こだわり続けてきたことが重なる場所に独自価値がある、と述べています。

講演では、「品質がよい」「対応が早い」の中身を具体的にし、「当社の独自価値は〇〇です。なぜなら…」という一文に落とし込む形を示しています。著書では、幹部や現場、可能であれば親しい顧客にも同じ問いを投げかけることを勧めています。経営者が思う強みと顧客が実際に感じている理由との間には、ずれがあることが少なくないからです。最初から完璧な定義を目指す必要はなく、現時点での「仮の言語化」で前へ進んでよい、とも述べています。

独自価値を軸に、成長の方向性とAXの二つの方向性を定める

独自価値を言語化したら、次はその価値を軸に会社を成長させるために何に注力するかを描く、というのが講演の二つ目のワークです。

独自価値をAIでどう活かすかの方向性を二つに整理しています。一つは、独自価値そのものにAIを掛け合わせて強化する方向性です。熟練者の技術判断をAIで形式知化する、といった取り組みが該当し、他社が同じAI技術を使ったとしても「何に適用するか」が違うため、独自性がさらに際立つ、と説明しています。ただし独自価値の多くは暗黙知として存在しており、AIに取り込むには現場のユーザーとAIが協働して形式知化するプロセスが欠かせない、とも述べています。

もう一つは、独自価値以外の経営プロセスをAI駆動型に移行する方向性です。バックオフィス業務や定型的な問い合わせ対応、集計作業といった「支える領域」をAI駆動型にすることで、経営資源の解放と経営基盤の安定化の二つの効果が生まれる、と説明しています。茂見氏は「効率化が目的ではなく、独自の価値への集中が目的です」と述べ、二つの方向性は「守り」と「攻め」の両面で組み合わせることで最大の効果を発揮する、と話します。

二つの方向性から、最優先課題を一つに絞る

AXの二つの方向性を手がかりに、成長への影響が大きい課題を一つ選び、具体化することが講演の三つ目のワークです。講演資料では、課題を「誰の、どの仕事で、何が起きているか」まで具体化するよう求めています。

着手の優先順位について、三つのパターンを示しています。①独自の価値が脅かされている場合は、独自価値そのものの強化を優先する。②独自の価値は健在だが経営資源が逼迫している場合は、経営プロセスのAI駆動化で資源を解放する。③両方が急務の場合は、成果が出やすい経営プロセスのAI駆動化で「小さな成功」を積みながら、独自価値の強化に並行着手する。この優先順位の設定は、IT部門やAIベンダーではなく経営者にしかできない意思決定だと茂見氏は述べています。

課題の解像度については、経営者の想いと現場の声を重ね合わせ、「利益率を改善したい」ではなく「見積もりの精度を高めて粗利を確実に確保する」という水準まで具体化することで、AIをどう活用できるかが見えてくる、と説明しています。この課題設定の考え方は、CosBE AXメソドロジーの成功の4原則のうち「イシュー・ファースト」にあたります。一方で、完璧な課題設定にとらわれる必要はない、とも述べています。

最小構成のAIソリューションで「何を確かめるか」まで決める

最初の取り組みは、小さな範囲で仕事の変化を確かめる最小構成のソリューションとして定め、何を見れば「次へ進める」と判断できるかまで決めます。講演資料では、①入力する情報、②AIに任せる処理、③人の確認・判断、④業務で使う出力、の四つで最初のAX案を設計し、「最初に試す仕事・対象をどこまで絞るか」「何が変われば、この取り組みは有効だと言えるか」を問うています。

この最初に作る範囲をMVP(Minimum Viable Product:最小限の実用プロダクト)の対象範囲と呼び、定める観点を三つ挙げています。①課題解決につながる最小単位は何か、②成果を測定できる範囲か、③現場で実際に使ってもらえるか、です。MVPはプロトタイプではなく動いて使える小さなプロダクトであり、最大の意義は「動かしながら学ぶ」ことにある、と説明しています。この進め方は、CosBE AXメソドロジーの「リーン&アジャイル」と「小規模AI群戦略」にあたり、人の確認・判断を要所に残す設計は「ユーザー統合型アプローチ」にあたります。

運用・改善を定着させ、全社変革へ広げる

最初のソリューションが運用に入ってからが本番であり、AXは「導入したら終わり」ではないと述べています。MVPは完成を待たずに現場で試し、要望を反映して「現場で使える」と確認できた段階で早期に運用を開始します。ロードマップは一度作って終わりではなく、開発の区切りごとに次のテーマを見直す、と説明しています。

持続的拡大のステージでは、①機能追加と適用範囲の拡大、②新たなテーマへの並行着手、③組織体制と人の役割の見直し、の三つが並行して進みます。成熟度はMVPからPoC(Proof of Concept)、Preview、正式版へと段階的に上がり、「運用しながら完成度を高めていく」進め方をとります。全社変革のステージでは、個別のAIが「点」から「線」「面」となって連携し、業務プロセスやビジネスモデル、組織、人事制度がAIを前提に再設計されていく、と説明しています。


技術は変わり、AIツールも変わりますが、「自社は何で勝つのか」という問いは変わりませんその問いへの答えを軸にAIを活用する企業こそが、AI格差の時代を生き抜き、新しい成長を手にするのではないか、というのが茂見氏の結論です。


判断の分かれ目は、独自価値を一文で言い切り、最初に確かめたいことを一つに絞れているかどうかにあります。この二つを整理するところから、CosBEにご相談いただけます。

ℹ️出典

発言者:茂見憲治郎(CosBE Inc. Founder & CEO) 講演資料「TAMURA MIRAI LAB 第3回 AI時代、地方から未来を創る 〜仕事・学び・経営はどう変わるのか?〜」2026年10月4日、田村市役所

CosBE編集部

この記事を書いた人

CosBE編集部

CosBE

目次

  • 出発点は「AIで何ができるか」ではなく「自社は何で勝つか」
  • 独自価値は「三つの問い」で言語化する
  • 独自価値を軸に、成長の方向性とAXの二つの方向性を定める
  • 二つの方向性から、最優先課題を一つに絞る
  • 最小構成のAIソリューションで「何を確かめるか」まで決める
  • 運用・改善を定着させ、全社変革へ広げる

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