AIトランスフォーメーション専門家で、CosBEの茂見憲治郎氏が、2026年8月21日公開の動画で視聴者からの3つの質問に答えています。この記事で扱うのは、3つ目の質問「AIを掛け合わせた新規事業をどう考えるか」への回答部分です。
ℹ️サマリー
・新規事業の方向は、市場と製品の組み合わせで整理できる ・自社でなければならない理由が言えるかが分かれ目になる ・強みを見つめ直し、そこにAI技術を掛け合わせる順序
新規事業の方向をどう整理するか
新規事業の開発では、古くから知られている考え方にアンゾフのマトリクスがある、と茂見氏は挙げます。
これは既存と新規の市場、既存と新規の製品・サービスという軸で分ける考え方です。①既存のサービスを新しい市場に開拓する市場開拓の戦略、②既存の市場に対して新しい製品・サービスを提供する製品開発・サービス開発の戦略、③そして新しい市場に新しい製品・サービスを提供する多角化、という整理が示されました。
このうち新規と新規の組み合わせは非常に難易度が高い、と述べています。通常考えるのは市場開拓か、もしくは新しい製品・サービスの開発かをまずは考えることになる、という順序です。
「自社でなければならない理由」は言えるか
茂見氏は質問への回答に入る前に、聞き手に対して、依頼するとしてその会社でなければならない理由はどこにあるか、と問い返しています。
質問はホームページ制作会社からのもので、簡単なサイト制作の単価が下がっていくのではないかという不安と、AIを掛け合わせた新規事業を考えたいがどこにチャンスがあるか見えていない、という内容でした。
聞き手からは、価格の安さ、短納期、ホームページ以外のマーケティングの観点でのサービス、といった点が挙げられます。そのうえで「自社でなければならない理由」を問われると、まだ顕在化できていないかもしれない、という応答になりました。茂見氏は、実はここが大きなポイントだ、と述べています。
AI時代に似たものが増えるのはなぜか
AI時代には、人が同じようなものを作れるようになっていく、というのが茂見氏の見立てです。
Claude Codeなどを使いながらサイトのデザインを作る、あるいはバックエンドも合わせてコーディングするというのが、今まさにできるようになってきている。そのうえで、AIは過去に学習したものから作っていくため、同じようなインプットに対しては似たようなアウトプットにしかならない、と説明します。
似たようなものが世の中に乱立していくことになる。このような世の中になっていくと、自分にしかできないこと、自社にしかできないことは何なのか、ここがより重要になってくるはずだ、と話します。
強みを見つめ直したあと、どう進めるか
新規事業を考えるときには、まず今まで事業をやってきた中で、ここは誰にも負けないというものをしっかりと見つめ直すこと、というのが最初のステップです。
この順序は、CosBE AXメソドロジーの「独自の価値を起点にする」という出発点と、独自価値そのものにAIを掛け合わせて強化する方向にあたります。
それができたら、どうやってAI技術を使って進化させるか。その先に新しい事業が見えてくる、と述べています。
強みがないまま新規事業にAIを絡めた場合については、事業はできるかもしれないが、継続的に成長する事業を作るには足りていないのではないか、という見方が示されました。みんなできてしまうから、という理由が添えられています。
事例:マネジメントを強みとした建設業
事例として挙げられたのは、工事の腕ではなくマネジメントを強みとしている建設業の企業です。
日本全国に数多くある建設業では、多くの企業が工事の腕、職人の腕を磨いて集まっているのに対し、この企業はマネジメントが非常に強みでした。工事現場では常にチームが変わる中で、職人の人たちをどのようにマネジメントしてパフォーマンスを高め、そして利益を生むのか。ここに強みを持っているとのことです。
そのマネジメントの強みがAI技術と掛け合わさり、組織内のコミュニケーションのパフォーマンスを上げる新しいサービスに発展した、と紹介されました。
一見すると事業領域はまったく違い、建設とは毛色の違うサービスに見える。しかし実はその根っこには企業の独自の強みがあって、その独自の強みをAI技術と掛け合わせて新規事業に発展した、という整理です。
新規事業でAIをどう使うかは、自社の強みが明確になった後の話になります。何によって選ばれてきたのかを一緒に見つめ直すところから、CosBEの無料相談でご相談いただけます。
発言者:茂見憲治郎 氏(AIトランスフォーメーション専門家/CosBE) 聞き手:小渕 氏(MC) 出典:AIで新規事業を作る前に考えるべきこと|自社の強み・差別化から始める成長戦略|経営者向け・CosBE・AIトランスフォーメーション(2026年8月21日公開) https://www.youtube.com/watch?v=2WVUF67fKas 該当箇所:05:21〜10:30 関連記事:AI活用の相談はどの段階からできるか|AXの進め方の順序/社内でAIツールが広がらないとき|着手すべき出発点

